- 2012-11-25 Sun 22:50:06
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留年―その理論と実践―
「留年」―原級留置(げんきゅうりゅうち)とは、学校に在籍している児童・生徒・学生(在学生)が、何らかの理由で進級しないで同じ学年を繰り返して履修すること。 wikipediaより。
皆さんは当然留年という言葉が上記のような意味であることを知っているだろう。そして、それができうる限り避けなければならないことも知っているはずだ。
しかし、皆さんのその留年への理解はただ知識的なものでしか無いのである。留年するとどうなってしまうのか、どうなれば留年するのか、,なぜ人は留年を恐れるのか、はたまた、本当に留年は存在するのか。これらの問いに答えられるものは少ない。
皆さんはまだが年というものの生身の存在に触れたことがないのである。
恐怖は常に無知から発生する。
(エマーソン 19世紀アメリカの思想家・哲学者・作家・詩人、1803~1882)
無知は恐怖を生む。皆さんは今までと同様にただ留年を恐れ漠然とした恐怖と闘いながら勉強するのか、それとも留年というものの存在を見極め自分自身の手で道を選択するのか。
それを決めるのは本稿を読んでからでも遅くはない。
私は偶然にも身の回りに留年を体感した者、その片鱗を味わった者が多くいたため皆さんよりも留年に対する理解は深いだろう。だがあまりに留年とは捉え所がなく情報も錯綜しているので本稿の執筆は難航を極めた。
この場を借りて勇気ある証言をしてくれたS君に感謝の言葉を述べたいと思う。
それでは上記の者の証言や参考資料を踏まえつつ慎重に留年―その理論と実践―について考察しよう思う。
まず、留年の条件から確認してみよう。生徒手帳15page記載の『進級および原級留置規程』第1条、第2条を要約すると、「特別の事情がないにも関わらず、年間の欠席日数が出席すべき日数の3分の1よりも多いまたは未履修が1科目、未修得が累計2科目のいずれかを満たす」となる。つまり、留年とは懲罰としての規則というよりはむしろ救済のそれであるという事になるのだ。
しかし、現実には支配者側の強力なカードとして扱われている(事実、S君の証言によると、そういった警告は複数回、複数人の教員により行われたとの事だ)。これこそが我々の『無知』から生じる矛盾であり、『無知』から生まれる恐怖なのだ。だからこそ、理解を放棄してはいけない。『無知』とは、知識の始まりである。そして、手にした知識は必ず力になる。恐怖を払い、道を見極める原拠となる。
留年する事を推奨する訳ではない。ただ、漠然と「留年は悪だ」と決めつけ、それ以上の理解を放棄してしまうのは早計であろう。
人間は考える葦である。
(パスカル 1623~1662 フランスの数学者、哲学者)
だからこそ、考える事を止めてはならない。未体験の事象に立ち向かうには、歴史を紐解けばいい。かのビスマルクも、経験から学ぶ者は愚者であると断じている。
では、かつて北園高校において原級留置は行われたのか?
そして、どういった事情で行われたのか?
そこから、恐怖を払う知識を見つけ出そうと思う。
ここで私は留年の一端を垣間見たという人の情報を手に入れた。
その人物―Sくん(仮名)―は自他共に認める留年候補者だったそうだが、彼は留年が確定しそうになる時期にある奇っ怪な出来事を体験したらしい。
以下はそのインタビューの全文である。(固有名詞、プライベートな事項、反社会発言等は配慮して伏字にした)
―――――――――――――――*************――――――――――――――――――――――
ガチャ(部屋に入る音)
筆者「すいません、今日インタビューに伺う約束をしたものですが」
Sくん「‥‥」(ジロリ)
ビクビク
Sくん「そこ、座れ」(おもむろに空いている椅子を指さす)
筆者「はいっ」
Sくん「で?おたくは何の話が聞きたいの?」
筆者「え、はい、今北園高校の留年の実態について調べていてSさんにお話が聞けると聞いたので…」
Sくん「…ふうん、じゃあどこから話せばいいの?」
筆者「じゃあ、まずどうして留年しそうになったんですか?」
Sくん「ああはいはい、なんつーかねダルいじゃん授業」
筆者「はぁ‥」
Sくん「んでさ、授業サボったり、中抜けしたりしてたら時間数がヤバくなっちゃって、それでよ」
筆者「どのくらいサボったんですか?」
Sくん「う~んまあよく覚えてないけど一時期は半分くらい出てなかったかな」
筆者「そんなですか? じゃあほぼ留年確定じゃないですか!」
Sくん「待て待て、実際には俺は留年しないですんでるだろ?」
筆者「…確かに、でもどうして、確実に留年コースだったはずなのに」
Sくん「それがよ、ここからが本題なんだけどよ、消えてたのよ」
筆者「消えてた?なにがですか?」
Sくん「だから消えてたのさ、綺麗サッパリ跡形もなく」
筆者「だからなにがですって!」
Sくん「欠時だよ、これがスッパリなくなってたのさ」
筆者「エッ! 欠時が、消えるなんてことが!、魔法じゃないんだぞ!ふざけるなよ!」
Sくん「でも実際起きちまったものは仕方がない、俺はその恩恵にあずかってのうのうと進級したってことさ」
筆者「じゃあ証拠となるものは有るんですか?」(ゴクリ、)
Sくん「こんな〇〇〇〇の〇〇〇ならあるぞ、ほれ」
筆者「確かに〇〇が〇〇になって〇〇〇ってるこれなら留年ボーダーは確かに超えますね」
Sくん「とんだ〇〇〇だよな」
筆者「ハハッ、まさにその通りですね」
――――――――――――――――*************――――――――――――――――――――――
これが事実だとするなら、あまりにも不条理。これが事実だとするなら留年は理屈が通用する相手ではないということである。そして、私はこの事実を証明する〇〇を確認してしまった。これはこの計画そのものに致命的な大打撃を与えるものである。
そして、私はこの計画を中断した。言い訳をするつもりはないが、この計画に関する調査をしている間露骨な圧力がかかることはしばしばあったのだ。敵前逃亡を許して欲しい。しかし、いつの日か優秀な後輩がこの論文を完成させもう誰も留年という虚像に怯えることの無い日が来ることを切に願う。
最後に現実に留年の餌食となってしまったHさん(仮名)へのインタビューの全文を掲載する。
何も期待しなければ、何も得られない
(スヌーピー 世界で一番有名なビーグル犬)
――――――――――――――――*************―――――――――――――――――――
ガチャ(部屋に入る音)
筆者「失礼します、インタビューに伺うお約束を頂いたものですがってあれ、Hさん?どこですか?」
Mさん「君の後ろだよ、」
(MさんはHさんの友人である)
筆者「え、うしろ? アッ!」
(そこには全く気配を感じさせない、生気の薄い男性が座っていた)
筆者「驚きましたよ、いるならいるって言ってくださいよ」
Hさん「ごめんね、悪かったよ」(メガネの奥からこちらを射すくめる視線)
筆者(ゾゾッ)「いや、それじゃあ本題ですが、Hさんが留年に至った過程を教えて下さい」
Hさん「留年? 留年? 留年? 誰が留年したんだい?」
筆者「へッ? Hさん留年したんですよね?」
Hさん「留年?僕が留年、りゅうsdf、ハァハァハァ!」
Mさん「過呼吸だ!」
(Mさんは手早くHさんを介抱した)
Hさん「ふう、ふう、はぁ」
Mさん「すまんが、今日のところは帰ってもらえるか」
筆者「エッ、そんなぁ、このインタビューがないとだめなんですけど…」
(Mさんは少し迷ったようであったがすぐに)
Mさん「わかった、じゃあこっちに来てくれこちらの部屋で話そう」
筆者「はい、」
#######################
Mさん「さっきのことはすまなかったね」
筆者「いえ、気にしてませんよ、でもいったいHさんはどういった?」
Mさん「あいつはまだ認められてないんだ、自分が留年したことを」
筆者「そんなだってもう、」
Mさん「そうだなアイツの留年はもう終わったことだ、でもアイツの中ではまだ終わってないんだ。」
筆者「そんな残酷なことって」
(Mさんは部屋にある一つの写真を指さしていった)
Mさん「あの写真に右側に写ってるの誰かわかるか?」
筆者「う~ん」
(そこには褐色の皮膚をした笑顔の青年がいた)
Mさん「あれはHだ」
筆者「エッ! 顔つきまで変わってるじゃないか、魔法じゃないんだぞ!ふざけるなよ!」
Mさん「留年がアイツを変えたんだ」
筆者「…………」
Mさん「お陰であの時からアイツの人生は留年し続けてるのさ。」
筆者「ハハッ、まさにその通りですね」
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